手術室の会話ってなかなかよ。part5
無機質な病室でひとり。
主人とLINEで繋がってることが救いだった。
コロナが、日本中に猛威をふるっていた。2020年。
このとき、岩手県には、まだ感染者がいなかったのに緊急事態宣言が出たために、病院では、緊急の手術以外は、見合わせるようになっていた。
ようやく、主治医から、話が聞けたのは、卵巣破裂から、1週間経っていた。
彼は、
手術着のまま、汗を滲ませながら、さも、オペで疲れているのに、という雰囲気を漂わせ、病室の椅子を引き寄せて、座り込んだ。
そして、なんで、破裂したのかなぁ?と、誰に、問うともなく天井を見上げたのだ。
そして、告げられたのは、
卵巣がんを疑うという事だった。
病室で、ひとりで、主治医の話を聞くのは、辛かった。コロナのせいで、面会はおろか、買い物にも出られなかった。主人とのLINEのやり取りだけでも、クタクタだった。主治医の話なんて、まともに頭に入って来ないに決まってる。
(わたし) 緊急の手術に、なぜならないのか、、、?
不満をぶつけた。
こんな、卵巣サッサと取ってくれればいいのに。
出産だって、帝王切開だって、やっているのに、何故、わたしの手術は、出来ないのだろう。
彼は、
何だか、昔からの知り合いのように、馴れ馴れしい口調で。
(主治医) 陰圧室で、手術しないといけないから。
熱があったからね。
もちろん、出来ない訳ではないけど、電気メス使うのに、陰圧室で大丈夫かな?と思ってさ、いろいろ、調べたりしたら、可能は可能らしいけど、
はじめての事だしね。
他の県内の病院でも、受け入れは、厳しいみたいだしさ。
(わたし)普通に考えて、卵巣が破裂したんだから、緊急を要するんじゃないの?
(主治医)今のところオペ室空いてないんだよね。
とりあえず、考えて、最善を尽くすし、放射線科の先生の見解がまだ出てないから、もう少し、待って!
あっという間の出来事。なのに、未だによく覚えてる。陰圧室でなきゃ手術できないなら、やるしかないだろ。電気メス使うから、って、なんだ?何言ってたんだ。主人に電話する手は、震えていた。
一通り話を聞いた後。
主人。
なんで、告知をお前ひとりの時に、しかも病室で、お前が1人で聞かなきゃいけないんだ!おかしいだろ!
…涙が。
入院して、はじめて泣いたかも。
主人に、悟られたくなかった。
part6につづく。
娘のリクエスト💓💓💓💓💓マシュメロ君